PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)についての中医学の考え

皆さま、こんにちは!蒲田で8年間、漢方相談を経て、現在大森駅直結・漢方薬専門の仁和堂薬苑の中医師韓です。

現在、生殖年齢である女性の10人に1人が悩んでいるPCOSについてご存知ですか?正式名称は、多嚢胞性卵巣症候群(たのうほうせいらんそうしょうこうぐん)です。

PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)とは

PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)は、左右の卵巣に本来成熟するべき卵胞が成熟せずに、たくさんできてしまう病気です。内視鏡で見て、片側の卵巣に10個以上小さな卵胞が連なったようなネックレスサインがあると、POCS(多嚢胞性卵巣症候群)と診断されます。

※ネックレスサインとは……10mm以下の小さな卵がネックレスのように数珠状に並んでいるように見えるため、このように呼ばれています。

【多嚢胞性卵巣症候群最新の診断基準】
①月経不順あるいは無月経、無排卵性月経
②ネックレスサイン
③ホルモンの異常

通常、女性は一回の生理で約1000個の原始卵胞が同時に成長をはじめます。そして、成長過程のなかで、ひとつ最も成熟し、大きくなる卵胞が現れます。→これを主席卵胞と呼びます。

この主席卵胞が約2〜2.5センチほどの大きさになると子宮への排卵が始まり、女性は妊娠できる状態になります。
しかし、PCOSの場合には、卵胞が成熟までは行かず主席卵胞が表れることなく、たくさん育ってしまうので、いつまでも排卵が行われない状態が続いて不妊の状態となってしまうのです。

自覚症状(1)月経周期が35日以上(2)月経が以前は順調だったのに現在は不規則(3)にきびが多い(4)やや毛深い(5)肥満などです。PCOSでは、超音波で卵巣をみると10mmくらいの同じような大きさの卵胞がたくさんできて卵巣の外側に1列に並び、なかなかそれ以上大きくならないことが特徴で、ネックレスサインと呼ばれます。

PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の一般的な原因

 

実は、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の明確な原因は分っておりません。一般的な婦人科においては、PCOSになると本来FSH(卵胞刺激ホルモン)より低いはずのLH(黄体化ホルモン)が高く、男性ホルモンやインスリン値が高くなる傾向にあります。

そのため、ホルモン分泌の異常や糖の代謝異常が背景にあるのではと考えられています。男性ホルモンを高くさせている原因は、脳から出ているLH(黄体化ホルモン)と血糖値を下げるインスリンというホルモンの作用です。それらが正常より強く卵巣に作用していて男性ホルモンが局所的に上がっていると考えられています。ですからPCOSの方は、生理中の血液検査で脳から出るゴナトロピン(LHとFSHのこと)をはかるとLHがFSH(卵胞刺激ホルモン)より高くなるという特徴があります。

PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の漢方的な原因

一方、中医学ではPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の原因は、以下の二つと考えています。

①痰阻(たんそ)

体の中に余分な水分や脂肪が溜まったものが生殖を含む体の機能を阻害している(油のような老廃物が溜まった状態)

②瘀血(おけつ)

瘀血は滞った血のこと。体内で栄養を供給する血の巡りが不調になることで生殖を含む体の機能を阻害している

①痰阻と②瘀血により、十分な成熟ができない、または痰湿や瘀血が卵巣のまわりにこびりつけば、時間が経つと膜が硬くなり、やがてつぶれて卵巣にたまるようになります。すると、卵巣が硬くなって排卵しにくくなるという訳です。

さらに、それに加え現代の日本人女性は虚証(中医学でいう陽虚)であるということも考えられます。

PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)の段階別・中医弁証論治

PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)には軽度、中度、重度と段階があり、軽度の人は、まだそんなに卵巣がかたくなっていないので、排卵さえできれば、妊娠をすることができます。そのため、活血薬と化痰薬に補腎薬を配合した周期療法を行うことで、効果が期待できます。

例えば、血を補う婦宝当帰膠、痰をとる働きのある定悸飲、または瘀血をとる芎帰調血飲第一加減や冠元顆粒とシベリア霊芝ですね。シベリア霊芝には腎を補う働きもあるのですよ。瘀血や痰湿を取り除き、血流をよくして腎の機能を高めるイメージです。

中度から重度と卵巣の硬さが目立ってくると、体外受精など高度な治療となり、身体への負担が増してしまいます。

そこで、漢方薬では先ほどお伝えしたのと同様に活血薬と化痰薬に加え、LH黄体形成刺激ホルモンや男性ホルモンが多く、基礎体の低温期が低いあるいは不安定な方が多いので、低温期には参馬補腎丸や参茸補血丸などの補腎陽薬を加えてもいいでしょう。排卵が不規則な方でも良質な卵を排卵するようになります。

PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)のまとめ

PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)を放置し、重度になってしまうと、いざ妊娠をしようと思っても出来ないために体外受精のような高度な治療をおこなっていくことになります。この場合、より多くの卵子を採卵するために排卵誘発剤を使ったり、注射で誘発する場合もあります。しかし、場合によっては注射をしても排卵ができずに、卵胞が育ちすぎて卵巣が腫れたり、胸やお腹に水が溜まるなど、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)といった問題に発展してしまいます。中医学の基について、漢方の不妊相談により、きちんと弁証論治をした上で、適切な漢方薬服用するとPCOSを早く改善できるようなケースが多いと思います。私の長年の臨床経験上、PCOSと診断された方や、生理が遅れ気味の方などは、早めのご相談をお勧めします。

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