新型コロナウイルスに対する中医学の考え方

  • こんにちは、韓雅仁です、日本で中医学活動している私から、
  • 皆さんの健康に役たつ有益な情報を提供できるよう、日々努力しております。

「中華人民共和国伝染病防治法」新型コロナウィルス肺炎に対する認識の深まりと治療経験の積み重ねを踏まえ、
「新型コロナウィルス診療方案(試行第 6 版)から抜粋しました。

≪中医学による予防について≫

漢方生薬の大青葉、桑の葉、陳皮、金銀花、菊花、黄耆など清熱解毒、
補気潤肺の効果ある薬草をブレンドした予防茶を飲むことによる、
新型コロナウイルス感染のリスクを減らすことが期待できる。

≪中医学による治療について≫

新型コロナウイルスは中医学の「疫」の病の範囲に属し、病因は「疫戻」
の気に侵されることにより発症。各地の患者の病状、気候の特徴、
体質の違いにより以下のガイドラインを参考に辨証論治を行う。
処方箋を超える用量については、医師の指導のもと治療を行うこ
ととする。
1. 医学観察期における治療について
臨床表現 1:胃腸の不調を伴う倦怠感
推薦される漢方製剤:藿香正気膠嚢 (丸剤、水、内服液) 「日本
では勝湿顆粒」
臨床表現 2:発熱を伴う倦怠感
推薦される漢方製剤:金花清感顆粒、連花清瘟膠嚢(顆粒)、疏風
解毒膠嚢(顆粒)
2. 臨床治療期(感染確認病例)における治療について
2.1 清肺排毒湯
適用される患者の範囲:軽度、中度、重症患者。危篤患者の救急
については実際の状況に応じて合理的に使用すること。
基礎方剤:麻黄 9g、炙甘草 6g、杏仁 9g、生石膏 15~30g(先煎)、
桂枝 9g、澤瀉 9g、猪苓 9g、白術 9g、茯苓 15g、柴胡 16g、黄芩
6g、姜半夏 9g、生姜 9g、紫菀 9g、冬花 9g、射干 9g、細辛 6g、
山薬 12g、枳実 6g、陳皮 6g、藿香 9g。
服用法:生薬を水で煎じ、毎日 1 剤、一日 2 回朝晩(食後 40 分)
に分けて温服する。3 日を 1 クールとする。

条件が整っている場合は、服用後に茶碗半杯分のおかゆ、舌干、
津液が不足している患者には一杯を飲ませる。(注:発熱のない患
者については生石膏の用量を少なくし、発熱や高熱の場合は容
量を増やす。)症状が改善ししているものの、まだ完治をしてい
ない患者については 2 クール目を行う。ただし、特殊な事情や
持病を持っている場合は、実際の状況に応じ 2 クール目の処方
箋を調整し、症状がなくなった時点で投与をやめることとする。
処方箋の出所:国家衛生健康委弁公庁 国家中医薬管理局弁公
室≪中西医結合で新型コロナウィルス肺炎の治療における「清
肺排毒湯」の推薦についての通知≫(国中医薬弁医政函(2020)22
号)
2.2 病状が軽い場合
(1)寒湿鬱肺
臨床症状:発熱、倦怠感、筋肉痛、咳、痰、胸の不快感、消化
不良、食欲不振、吐き気、嘔吐、排便の不快感。舌診で舌は腫
れぼったく歯痕あり、色はピンク色。舌苔は白厚腐膩か白膩。
脈は濡か滑。
推薦される処方箋:生麻黄 6g、生石膏 15g、杏仁 9g、羌活 15g、
葶苈子 15g、貫衆 9g、地龍 15g、徐長卿 15g、藿香 15g、佩藍 9g、
蒼朮 15g、雲苓 45g、生白術 30g、焦三仙各 9g、厚朴 15g、焦檳
榔 9g、煨草菓 9g、生姜 15g。
服用法:毎日 1 剤、600ml の水で煎じ、朝昼晩 3 回に分けて食事
の前に服用する。
(2)湿熱蘊肺
臨床症状:微熱あるいは無熱、微冷感、倦怠感、頭が重い、筋肉
痛、渇いた咳、痰少なく、喉の痛み、口の渇き、胸の不快、無汗
か汗が出づらい、吐き気、食欲不振、食欲不良、便が緩くもしく
は粘りがあり出にくく不快感を伴う。。舌診で舌はピンク色、舌苔は
白厚膩か薄黄色。脈は滑数か濡。

推薦される処方箋:檳榔 10g、草菓 10g、厚朴 10g、知母 10g、黄芩 10g、柴胡 10g、赤芍 10g、連
翹 15g、青蒿 10g(後下)、蒼朮 10g、大青叶 10g、生甘草 5g。
服用法:毎日 1 剤、400ml の水で煎じ、朝晩 2 回に分けて服用す
る。
2.3 通常例
(1)湿毒鬱肺症(重度の湿邪により肺機能が滞る)
臨床症状:発熱、咳をするが痰が少ない、あるいは痰が黄色い、
息苦しい、腹満、便秘などを伴う。舌全体が肥大になり、色がダ
ークレッド、舌苔が黄膩或いは黄色く、乾燥と見られる。脈が滑、
数脈或いは弦滑。
処方提案:生麻黄6g、苦杏仁15g、生石膏30g、生薏苡仁30g、茅蒼
朮 10g、広藿香15g、青蒿草(オトコヨモギ)12g、虎杖(いたど
り)20g、馬鞭草(バベンソウ )30g、乾芦根(干し葦根)30g、
葶藶子(ていれきし蔕歴子)15g、化橘紅(かきっこう)15g、生甘
草10g。
服用方法:日に一剤、水で生薬を湯液400mlに煎じて、朝・夕の2
回分に分けて服用。

(2)寒湿阻肺症(寒と湿が結びいたことにより、肺機能に支障
を引き起こす)
臨床症状:低熱、身熱不揚(つよい熱感があるが体表部には甚だ
しい熱がない)或いは未熱、空咳、痰が少ない、倦怠感、胸が苦
しい、胃の膨満感と不快感、或いは吐き気がする、下痢便。舌質が
淡い或いは薄赤、舌苔が白い或いは白膩、脈が濡脈。
処方提案:蒼朮15g、陳皮10g、厚朴10g、藿香10g、草果(ソウカ
草果子)6g、生麻黄6g、羌活10g、生姜10g、檳榔10g。
服用方法:日に一剤、水で生薬を湯液400mlに煎じて、朝・夕の2
回分に分けて服用。
2.4 重症例
(1)疫毒閉肺症
臨床症状:発熱、赤面、咳をする、痰が黄色く、粘り気で少ない、
或いは痰が血を伴う、呼吸が苦しい、精神が倦怠、口が乾き、苦
く、粘り気がある、吐き気で食欲がない、便秘、尿の量が少なく、
色は深い黄色もしくは赤みを帯びている。舌苔が赤、苔が黄膩、
脈が滑脈、数脈。
処方提案:生麻黄6g、杏仁9g、生石膏15g、甘草3g、藿香10g(
後に入れる)、厚朴10g、蒼朮15g、草果10g、法半夏9g、茯苓15g、
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生大黄5g(後に入れる)、生黄耆(キバナオウギ)10g、葶苈子
10g、赤芍10g。
服用方法:日に1~2剤、水で煎じる。一回に湯液を100~200ml
煎じて、日に2~4回、口服或いは経鼻栄養をする。
(2)気営両燔症
臨床症状:病状が長引くことにより、異常に喉が渇き、水を頻繁に飲
みたくなる。呼吸が促迫、意識が朦朧とし、あることないことを言う
視物錯瞀(物が見えにくい)、或は発疹、或いは吐血、衄血(鼻
から血がでる)、あるいは四肢抽搐(手足がふるえる)、舌が絳
色、舌苔が少ないあるいは苔がない、脈が沈、細、数、あるいは
浮、大、数。
処方提案:生石膏30~60g(先に煎じる)、知母(ちも)30g、生
地30~60g 水牛角30g(先に煎じる) 赤芍30g 玄参30g 連翹
15g 丹皮(ボタンぴ)15g 黄連6g 竹葉12g 葶藶子15g 生甘
草6g
服用方法:日に1剤、水で煎じる。先に石膏と水牛角を入れ、後
に残りの生薬を入れる。一回に湯液を100~200ml煎じて、日に2
~4回、口服或いは経鼻栄養をする
漢方薬提案:血必浄注射液、熱毒寧注射液、痰熱
清注射液、醒脳静注射液
効能が近い漢方薬であれば患者の状況に合わせて、一種類使う。

臨床の症状を観察しながら二種類合わせて使うのも良い。
漢方注射液と漢方湯液を合わせて活用するのも良い。
2.5 重篤例(内閉外脱症)
臨床症状:呼吸困難、頻繁に喘息或いは呼吸医療設備に頼らなけ
ればならない。神志昏昧、煩躁(いらいらする)、汗出肢冷(汗が
出る、四肢が冷える)、舌質が紫暗(紫で暗い)、舌苔が厚膩あ
るいは乾燥、脈が浮、大、無根。

処方提案:朝鮮人参 15g、黒順片(附子)(先に煎じる)10g、山
茱萸(サンシュユ)15g、上記を煎じた湯液で漢方薬の蘇合香丸或
いは安宮牛黄丸と一緒に服用する。
漢方薬提案:血必浄注射液、熱毒寧注射液、痰熱清注射液、醒脳
静注射液、参附注射液、生脈注射液、参麦注射液。効能が近い漢方
薬であれば患者の状況に合わせて、一種類使う。臨床の症状を観察し
ながら二種類合わせて使うのも良い。
漢方注射液と漢方生薬の湯液を合わせて活用するのも良い。
注:重症と重篤例漢方薬注射剤の推薦用法
漢方薬注射剤の使用は薬の説明書に従い、少量から始め、段階的
に調整する原則として、推薦方法は下記通り。
ウイルス感染または合併軽度の細菌感染:0.9%塩化ナトリウム注
射液 250 ml+喜炎平注射液 100 mg bid、または 0.9%塩化ナトリウム
注射液 250 ml+熱毒宁注射液 20 ml、または 0.9%塩化ナトリウム注
射液 250 ml+痰熱清注射液 40 ml Bid。

高熱伴意識障害:0.9%塩化ナトリウム注射液 250 ml+醒脳静注射液
20 ml bid。
全身炎症反応総合征あるいは/多臓器機能不全:0.9%塩化ナトリウ
ム注射液 250 ml+血必浄注射液 100 ml bid。
免疫抑制:0.9%塩化ナトリウム注射液 250 ml+参麦注射液 100 ml
bid。
ショック:0.9%塩化ナトリウム注射液 250 ml+参附注射液 100 ml
bid。
2.6 回復期
(1)肺脾気虚症
臨床症状:息が短く、倦怠感、吐き気、便秘、舌質が舌が淡くて
太っていて、舌苔が白くて厚膩である。
推薦処方:法半夏 9 g、陳皮 10 g、党参 15 g、炙黄耆 30 g、炒め白
術 10 g、茯苓 15 g、藿香 10 g、縮砂 6 g、甘草 6 g
服用方法:日に一剤、水で生薬を湯液 400ml に煎じて、朝・夕の
2回分に分けて服用。
(2)気陰虚症
臨床症状:力がなく、息が短い、口が渇いて動悸して、汗が多い、
低い熱あるいは熱がない、、空咳で痰が少ない。舌が乾き、脈は細
くて虚無力である。
推薦処方:南北沙参各 10 g、麦冬 15 g、西洋参 6 g、五味子 6 g、
生石膏 15 g、淡竹葉 10 g、桑葉 10 g、芦根 15 g、丹参 15 g、生甘
草 6 g。

服用方法:日に一剤、水で生薬を湯液 400ml に煎じて、朝・夕の
2回分に分けて服用。

九、隔離解除及び退院後の注意事項
(一)隔離解除及び退院基準。
1.体温が正常に復して 3 日間以上。
2.気道の症状があきらかに改善された。
3.肺部映像学による急性滲出性病変があきらかに改善された。
4.連続 2 回の気道標本核酸検査陰性(サンプリング採取は少なくと
も 1 日空けること)。
以上の条件を満たす方は隔離を解除し退院できる。
(二)退院後の注意事項。
1.定点病院は患者の居住地末端医療機関との連絡を取り、カルテ
資料を共有し、適時に退院患者の情報を患者管轄区、または居住
地の町内委員会と末端医療衛生機関に送るべき。
2.患者が退院した後、回復期に身体の免疫機能が低下し、他の病原
体に感染するリスクがあるので、引き続き 14 日間の自己健康状況
の監視を行い、マスクを着用し、条件があれば、通風の良い一人
部屋に住み、家族との近距離の接触を減らし、食事を分け、お手洗
いをよく行い、外出活動を避けることを勧める。
3 .退院後 2 週目、4 週目病院に再検査、再診することを提案する。

以上、「中華人民共和国伝染病防治法」新型コロナウ
ィルス肺炎に対する認識の深まりと治療経験の積み重ねを踏まえ、
「新型コロナウィルス診療方案(試行第 6 版)から抜粋しました。 

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